

近視進行抑制治療について
低濃度アトロピン点眼治療
アトロピン点眼は、古くから小児の近視進行抑制に有効であることが知られていました。
2012年アトロピン点眼を100倍に薄めた低濃度(0.01%)点眼で、屈折値で約60%の近視進行抑制効果を維持しながらも、同時に副作用(散瞳、調節麻痺、使用中断後の急速な近視進行)の問題がほぼ解消されることが明らかとなり、一躍脚光をあびるようになりました。現在、近視抑制効果と副作用の点から、日本人の小児に至適な濃度が検討されているところです。当院では、まず安全性を重視して0.01%アトロピン点眼を第1選択としていますが、近視進行リスクの高いお子さんには0.02%アトロピン点眼処方を行うことがあります。


このような方にお勧めです
対象年齢 近視が進んで視力が下がってきているお子様(6歳〜17歳の方)
対象屈折度 (軽度から中程度の近視の方) (1D〜6D)
治療方法
1日1回、寝る前に両眼に1滴点眼してください。
(2滴不可。涙嚢部圧迫)
アトロピン点眼価格
マイオピン 0.01%
アトロピン(自家調整)
● 3,300円(税込)
● 880円(税込)
治療期間
2年以上の継続が推奨
点眼開始1か月目 以降3か月ごとの定期検査が必要です
副作用
-
近視進行抑制を目的とした治療で、現在ある近視が治るわけではありません。必ずしも効果が出るものではありません。
-
少し瞳が大きくなり、まぶしさを感じる可能性があります。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジー(オルソ K)は、特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝時に装用することで、角膜上皮の形状変化から近視矯正効果を生じさせ、日中は眼鏡なしで良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です(図1)。

角膜中央の上皮が菲薄化し、周辺部が厚くなることで矯正効果を生じますが、圧迫できる上皮には限度があるため、矯正量はガイドラインではー4Dまでとなっており、日本人のオルソ Kの近視進行抑制効果は、長期でも30%は期待できることが示されています。オルソ Kはその高いエビデンスレベルに基づく比較的確実な有効性と、着脱・管理を夜間に両親が行える点から、現時点で近視進行抑制診療において不可欠な選択肢の一つとなっております。小児にオルソ K治療を行う場合は、専門医の厳格な管理と、両親への適切な教育のもとで、選択された症例に処方を行うことが重要となっております。
(図1)

治療の流れ
オルソケラトロジーレンズは、近視矯正治療を目的としていますので、眼科医の処方、管理、指導のものでのみ使用可能です。眼の健康状態、オルソケラトロジーレンズの使用に適しているかの検査を受けていただく必要があります。
適応検査&テスト
オルソケラトロジーレンズの装用に適しているか、近視の度合いや角膜の形状、眼の健康状態を調べる「適応検査」を受けます。
適応検査で問題なければ、院内のトライアルレンズを 30~60 分(時間)程、
装用していただきます。
オルソケラトロジーレンズの注文
個々の患者様の眼の状態にあったオルソケラトロジーレンズを注文します。レンズは数日で出来上がります。
オルソケラトロジーレンズの装用開始
オルソケラトロジーレンズの装用を開始の為、フィッティングに問題ないかなど検査を受けます。
問題なければ使用を開始します。レンズの装脱着やケア方法についてご説明します。
装用開始翌日の検査
レンズのフィッティングに問題ないか、レンズの装脱着が問題なく出来たかを確認します。
治療方法
一 人ひとりの眼に合わせて選択されたハードコンタクトレンズを寝ている間にだけ装用します。
料 金(オルソケラトロジーにかかる費用)
適応検査
(トライアルレンズ装用)
5,000円
お試し装用
(実際の目に合ったレンズ作成し試用)
50,000円
お試し開始から1ヶ月以内のお試し中止の場合は30,000円返金
治療の継続
85,000円(両眼)
12か月間の検査費用(トライアル開始より1年間)
初年度にかかるおおよその費用
140,000円
治療にかかる費用(税込)
その他の費用
2年目以降の診察検査費用
3,000円/1回
レンズの破損交換
30,000円
新規購入から1年以内1回は無料
レンズの紛失
30,000円
レンズの定期交換
30,000円
2年に1回程度、または
医師の判断により交換が必要となった場合
副作用
-
従来の昼間装用ハードコンタクトレンズと同じ合併症が起こる可能性があります。
-
視力が安定するまで見え方が変動することがあります。
-
夜間にまぶしかったり、にじんで見えたりする可能性があります。
治療期間
コンタクトレンズをお渡しした翌日、1週間後、2週間後、1ヵ月後、その後は3ヵ月毎に検査を受けていただきます。
多焦点ソフトコンタクトレンズ治療
多焦点ソフトコンタクトレンズは、一般的に老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られております。海外では各社が様々なデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズを子どもの近視進行抑制のために開発していますが、日中に装用するため、ゴミが入った時などに、自分で取り外すといった自己管理が可能な年齢になるまでは、使用できないため、比較的年齢が高い小児が対象となります。



このような方にお勧めです
小学生高学年以上の方
近視が中等度以上でオルソケラトロジー治療の適応がない方
オルソケラトロジー治療よりも初期費用を抑えたい方
治療方法
・遠近両用ソフトコンタクトレンズを日中に装用することで、小児期の近視進行を抑える治療方法です。
・使用方法は通常のソフトコンタクトレンズとかわらないため、始めるのも中断することも容易に行えます。
※近視の進行を完全に止めたり、今ある近視を治す効果はありません。
※治療効果には個人差があります。
料 金
レンズの費用は1箱(片目、1ヶ月分)3,800円(税込)となります。
治療期間
レンズ購入後は1か月後、3~4ヶ月毎に検診を受けていただきます。
副作用
-
従来の昼間装用ハードコンタクトレンズと同じ合併症が起こる可能性があります。
-
視力が安定するまで見え方が変動することがあります。
-
夜間にまぶしかったり、にじんで見えたりする可能性があります。
特殊な眼鏡
2020年ごろから海外で販売されるようになった、周辺部の網膜に網膜の手前でピントが合う光をたくさん作用させたり、周辺部の網膜のコントラストを下げることで、近視進行を抑制しようとする、の新しいタイプの近視進行抑制眼鏡は、眼軸の延長が通常の眼鏡やコンタクトレンズ比で平均50~60%抑制されることが報告されはじめております。しかし日本では、現時点では使用できません。

『累進屈折力レンズ眼鏡』を使用して、近くを見るときの調節力を軽減させ、網膜の中心部における焦点ボケを防ぐことで、眼軸の延長を抑制する方法があります。通常の眼鏡やコンタクトレンズに比べて平均10~20%の近視の進行を抑制することが判っており、この眼鏡であれば日本でも使用が可能です。しかし、効果が小さいことや、眼鏡の位置調整などに常に注意が必要なため、あまり普及していません。

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